月経(生理)が始まる2週間前ごろから心身が不安定でとてもつらい状態を「月経前症候群(PMS)」といいます。その中でも心の不安定さが際立って強く出てしまう場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されます。
PMDDは抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラの4症状が中心で、食行動の変化や睡眠障害などの特徴的な症状が月経前に出現することで社会活動や人間関係に支障をきたします。原因や病態についてはまだ完全には明らかにはなっていません。

「月経の周期に応じて症状が悪化するけど、月経期間になると症状が落ち着く。」そのような悪化ー改善の経過のために、相談や受診をためらってしまっていることはありませんか?月経前不快気分障害の特徴は、悪化と改善を「繰り返す」という事です。

日常生活の中で現れやすいサイン

  • 月経周期の始まる前の週に、イライラや怒りっぽさが出やすい
  • 月経周期の始まる前の週に、抑うつや憂鬱な感情が出て気力がわかない
  • 月経周期の始める前の週に、感情が不安定になったりコントロールが効かない

月経前不快気分障害(PMDD)の症状

精神面の症状

  • イライラ
  • 涙もろくなる
  • 抑うつ気分
  • 自己否定感
  • 緊張している
  • 意欲の低下

身体面の症状

  • 怒りっぽくなる
  • 悲しい感じが突然来る
  • 絶望感
  • 不安
  • 高ぶっている
  • 気分が浮き沈みしやすい

治療について

薬物治療

月経前不快気分障害では、対処療法も兼ね合わせた「薬物療法」も重要です。 不眠に対しては睡眠薬、痛みに対しては鎮痛薬、更にはイライラや抑うつといった症状に対しては、抗不安薬や抗うつ薬であるSSRI(フルオキセチン・パロキセチン・セルトラリン)などを短期的に投与することが有効とされています。

漢方治療

月経前不快気分障害では、「漢方治療」も有効です。 月経周期に関連した諸症状に対する効果・効能を持つ漢方は複数種類あります。それらの漢方を内服することで、月経周期に関連した身体症状や心理症状を緩和させることが可能となります。

精神療法

月経前不快気分障害の為に、周囲とぎくしゃくしたり、周期的に起きる自分の感情の変動に振り回されて、自己の価値観や認知にゆがみが生じてしまい、更に生活を送りづらい心理状態に陥ってしまう事も多いのです。 その時には、外来通院を通した精神療法を併用して、自己否定的な感情や絶望感から生まれた認知に関する修正などを図ることも大切です。

対応の仕方

月経前不快気分障害(PMDD)の症状や、悪化・改善を繰り返す特徴に、最初は本人も周囲も戸惑う事は多いかもしれません。 また、そのような症状を繰り替えしていくうちに、「表裏の激しい人」「感情のコントロールができない人」等、誤った評価を周囲に与えてしまいかねません。 もし、「月経前不快気分障害かも」とお悩みの方はお気軽にご相談いただけましたらと思います。