不眠症の治療における薬物の使い分けは、不眠症のタイプ、症状の重さ、患者の個々の健康状態、および他の服用中の薬剤に依存します。主要な睡眠薬の種類とそれらの特徴を以下に示します。
- 非ベンゾジアゼピン系
超短時間型:マイスリ―・アモバン・ルネスタ - ベンゾジアゼピン系
超短時間型:ハルシオン
短時間型:レンドルミン・エバミール/ロラメット・リスミー・デパス・
サイレース
中間型:ユーロジン・ベンザリン/ネルボン
長時間型:ドラール - メラトニン受容体作動薬:ロゼレム・メラトベル
- オレキシン受容体拮抗薬:ベルソムラ・デエビゴ
- バルビツール酸系:ラボナ・イソミタール
※バルビツール酸系は古いお薬で安全性が低く、使われることは稀。
1. ベンゾジアゼピン系睡眠薬
- 特徴:睡眠の質を改善し、入眠時間を短縮する。筋弛緩作用と抗不安作用もあります。
- 使用例:アモバン(一般名:ゾピクロン):1989年発売、マイスリ―(一般名:ゾルピデム):2000年発売、ルネスタ(一般名:エスゾピクロン):2012年発売など。
- 適応:短期間の使用に適しており、特に不安が伴う不眠症に有効です。
- 注意点:依存性や耐性のリスクが高く、長期間の使用は推奨されません。
2. 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z薬)
- 特徴:入眠時間の短縮に特化し、睡眠構造への影響が少ない。
- 使用例:ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(イミボーン)、エスゾピクロン(ルネスタ)など。
- 適応:入眠障害に特に有効ですが、中・長期間の使用には依存性や副作用のリスクがあります。
3. メラトニン受容体作動薬
- 特徴:体内のメラトニン受容体を活性化し、体内時計を調節します。
- 使用例:ラメルテオン(ロゼレム)。
- 適応:慢性的な入眠障害や体内時計の乱れに有効です。依存性のリスクが低い。
4. 抗うつ薬
- 特徴:不眠症がうつ病や不安障害と関連している場合に用いられることがあります。
- 使用例:トラゾドン(デシレル)、ミルタザピン(リメロン)など。
- 適応:うつ病や不安障害に伴う不眠症の治療に用いられます。
5. 抗精神病薬(小量使用)
- 特徴:小量での使用が睡眠を促進する効果があります。
- 使用例:クエチアピン(セロクエル)など。
- 適応:他の治療法が効果を示さない場合や、特定の精神疾患を伴う不眠症に用いられます。
使用上の注意
- 個別の健康状態:既往症、他の薬剤との相互作用、潜在的な健康問題を考慮する必要があります。
- 依存性と耐性:特にベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系は、依存性と耐性のリスクがあるため、短期間の使用が推奨されます。
- 長期使用の避ける:長期間の使用は、睡眠の質の改善よりも問題を引き起こす可能性があります。
不眠症の薬物療法は、常に個々の症状、健康状態、及び生活習慣を考慮して選択されるべきです。また、可能な場合は非薬物療法(特に認知行動療法)と組み合わせることが望ましいです。治療計画は、医師の指導の下で行う必要があります。
ジェネリックで処方されている方は、以下を参照ください。
- マイスリ―:ゾルピデム
- アモバン:ゾピクロン
- ルネスタ:エスゾピクロン
- ハルシオン:トリアゾラム
- レンドルミン:ブロチゾラム
- エバミール/ロラメット:ロルメタゼパム
- リスミー:リルマザホン
- デパス:エチゾラム
- サイレース:フルニトラゼパム
- ユーロジン:エスタゾラム
- ベンザリン/ネルボン:ニトラゼパム
- ドラール:クアゼパム
- ロゼレム:ラメルテオン