小顔治療で代表的なのが「エラボトックス」。
しかし実は、“エラ=咬筋” と “耳下腺” は位置が近いため、正しく見分けられないと ボトックスが効かない/予期せぬ副作用が出る などのリスクがあります。
本記事では、咬筋と耳下腺の確実な見分け方を、医師の視点からわかりやすく解説します。

1. そもそも「えら(咬筋)」とは?
■ 場所
- 頬骨の下から下顎角(エラの角)に向かってつく筋肉
- 噛むときに隆起し、手で触ると「硬く盛り上がる」のが特徴
■ 役割
- 咀嚼(食いしばり・噛む動作)の中心となる筋肉
■ エラ張りの原因
- 食いしばり・歯ぎしり
- 咀嚼時の過活動
→ 咬筋が肥大し、横顔や正面で“エラが張る”状態に
2. 「耳下腺」とは?
■ 場所
- 耳の前から下に広がる唾液腺
- 耳たぶの前面〜顎角の少し後ろに位置する“やわらかい組織”
■ 役割
- 唾液を作る器官(口腔の潤い・消化のサポート)
■ 注意すべき点
耳下腺にもボトックスを打つ施術がありますが、
咬筋と誤認して耳下腺に誤って注入すると効果が出ない・表情に違和感が出ることがあります。
3. 咬筋と耳下腺の見分け方
① “噛んでも膨らむのは咬筋だけ”
▶ 目安:「グッと噛んでください」
- 指で触って 硬く盛り上がる → 咬筋
- 動きがなく 柔らかいまま → 耳下腺
これは最も簡単で確実な見分け方です。
② 場所の違いで見分ける
■ 咬筋の位置
- 頬骨の下
- 口角の後ろ〜下顎角(エラの角)
■ 耳下腺の位置
- 耳の前〜下
- やや後方に広がる・面積が大きい
▶ 咬筋は「やや前方」
耳下腺は「耳の真下から後方」にある と覚えると簡単です。
③ 質感の違い
- 咬筋:硬い・輪郭がはっきり・筋肉の塊
- 耳下腺:柔らかい・境界が曖昧・脂肪に近い触り心地
④ 咬筋の“形”で見分ける
咬筋は縦長の四角形(台形)で、上下方向に走る筋肉。
耳下腺は “広がる形” で、境界が不明瞭。
⑤ 輪郭変化をチェック
- 咬筋肥大 → 横幅が広がる(エラが張る)
- 耳下腺肥大 → 下顔面が “もたつく・丸く見える”
口横の膨らみが原因でフェイスラインが崩れている場合は、耳下腺が原因のことが多いです。
5. よくある誤解
❌ “咬筋=エラの角だけ” ではない
咬筋はもっと広く、上方にもついています。
❌ 耳下腺を咬筋と勘違いして注入してしまうと…
- 効果が弱い
- 表情の違和感
- フェイスラインの変化が不自然
- 口が乾きやすくなる
6. 美容医療での活かし方
■ 咬筋ボトックス(小顔目的)
- 過剰な食いしばり改善
- フェイスラインがシャープに
■ 耳下腺ボトックス(小顔・唾液腺が張っている人)
- 正面からの“下膨れ”改善
- 唾液腺の張りが原因のむくみ改善
▶ 咬筋 × 耳下腺を組み合わせると、より自然で美しい小顔ラインになる
7. まとめ
| 項目 | 咬筋 | 耳下腺 |
|---|---|---|
| 性質 | 筋肉 | 唾液腺 |
| 触感 | 硬い | 柔らかい |
| 動き | 噛むと盛り上がる | 動かない |
| 位置 | やや前方 | 耳の真下〜後方 |
| 目的 | 小顔・食いしばり改善 | 下膨れ改善 |
