結論:入眠に特化。使うなら最小量・短期間・就寝直前が安全です。
まとめ
- ゾルピデムは入眠障害に向く超短時間型の睡眠薬。効きが早く、翌朝に残りにくいのが特徴。
- 健忘(覚えていない行動)・ふらつきなどの副作用に注意。服用後は必ず横になる。アルコールはNG。
- **長期連用は避け、減量計画(“やめ方”)と睡眠習慣の見直し(CBT-I)**を一緒に。
ゾルピデム(マイスリー)とは?
- 非ベンゾジアゼピン系(いわゆるZ薬)の睡眠導入薬
- 作用は超短時間型:服用後すぐ効きはじめ、効果はおよそ3–4時間
- 筋弛緩や抗不安作用が少なめ=ふらつき・眠気の持ち越しが比較的少ない(ゼロではありません)
向いている症状
- 寝床に入っても30分以上眠れないタイプの不眠(入眠障害)
向きにくい症状
- 夜中に何度も起きる(中途覚醒)
- 早朝に目が覚める(早朝覚醒)
→ これらが主訴なら、別の薬や非薬物療法の検討を。
効果の“強み”と“弱み”
強み(メリット)
- 即効性:就寝直前に飲んで、すぐ眠気
- 翌朝に残りにくい(短作用)
- 入眠に特化=無理に長く効かせない
- ジェネリック有(費用が抑えやすい)
弱み(デメリット)
- 作用時間が短いため、中途覚醒・早朝覚醒には不十分なこと
- 健忘(記憶が抜ける)・睡眠随伴行動(寝ぼけて食事・外出等)のリスク
- 長期連用で依存傾向(“飲まないと眠れない気がする”)が生じやすい
正しい飲み方(安全に効かせるコツ)
- 用量:通常5–10mgを就寝直前に(高齢者は5mgから)
- 必須ルール:
- 服用後はすぐに横になる(起きて行動しない)
- 運転・機械操作は不可(翌朝まで残ることがある)
- アルコール厳禁(過鎮静・健忘・事故リスク上昇)
- 食事:満腹だと効きが遅れることがあります。就寝直前に水で内服。
副作用と対策
よくあるもの
- 健忘・もうろう状態:服用後に会話・行動し、翌日覚えていない
- 対策:就寝直前だけに内服、内服後は起きて活動しない
- ふらつき・転倒:夜間トイレは要注意
- 対策:足元灯、スリッパをやめ靴下、高齢者は5mgから
- 翌朝の眠気:就寝時刻が遅い・睡眠時間不足で起きやすい
- 対策:睡眠時間を確保/用量を下げる
- 睡眠随伴行動(夢遊・料理・外出など)
- 対策:一度でも起きたら中止し、受診(再開しない)
併用注意(お酒・他の薬)
- アルコール:絶対に一緒に飲まない(過鎮静・健忘・事故)
- 他の鎮静薬(抗不安薬・抗精神病薬・オピオイドなど):眠気・呼吸抑制が増強
- 一部の抗菌薬・抗真菌薬など:薬の代謝に影響→効きすぎ/効きにくさ
→ 既往歴・併用薬は必ず申告してください。
妊娠・授乳・持病について
- 妊娠・授乳:原則主治医と要相談(状況により代替・中止を検討)
- 睡眠時無呼吸・重度の肺疾患・重い肝障害:慎重/回避が必要
- 高齢者:5mg開始、転倒対策を徹底
剤形とジェネリック
- 錠剤/OD錠/ODフィルム/内用液など、多様な剤形が利用可能
- ジェネリック(ゾルピデム錠)も有り:有効成分は同じ。体感差があれば先発・別剤形へ変更で対応
- 薬価は改定されるため、費用は処方時に薬局で確認を
“やめ方”ガイド(リバウンド不眠を防ぐ)
- 連用するほど**「飲まない夜」に眠れない**感じが強くなります(反跳性不眠)
- いきなり中止せず、10–25%ずつ1–2週ごとに段階的に減量
- 併行してCBT-I(不眠の認知行動療法)・睡眠衛生を実施
- 減量が難しければ、医師判断でより長く穏やかに効く薬へ置き換えを検討
ほかのZ薬との比較(早見表)
| 薬剤 | 一般名 | 作用時間の目安 | 主な用途 | 特徴的な副作用の違い |
|---|---|---|---|---|
| マイスリー | ゾルピデム | 超短時間 | 入眠障害 | 健忘・睡眠随伴行動に注意、翌朝残りにくい |
| アモバン | ゾピクロン | 超短時間 | 入眠~やや維持 | 苦味を感じやすい |
| ルネスタ | エスゾピクロン | 超短時間 | 入眠~やや維持 | 苦味が比較的少なめ |
目安であり個人差があります。**「どれが一番良いか」より「あなたに合う用量と使い方」**が重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 夜中に目が覚めたら、もう1回飲んでもいい?
A. 再服用はNG。健忘や事故リスクが上がります。
Q. 何カ月まで飲めますか?
A. 原則短期間。続ける場合も最小量で定期評価と**“やめ方”の計画**を同時に。
Q. 翌朝の会議が心配です。
A. 就寝直前内服+十分な睡眠時間が重要。翌朝の運転は避ける。
Q. ジェネリックでも効きますか?
A. 原則同等。体感差があれば先発・剤形変更で調整可能です。
まずはここをチェック(受診推奨のサイン)
- 2週間以上、入眠困難が続く
- 中途覚醒・早朝覚醒が主な悩み
- いびき・無呼吸を指摘される/日中の強い眠気
- うつ・不安など気分の不調を自覚
→ 薬だけでなく原因の評価が必要です。遠慮なくご相談ください。
当院の診療フロー(オンライン対応可)
- 初回評価:不眠タイプ(入眠/中途/早朝)と生活習慣・併用薬を整理
- 治療計画:CBT-I+睡眠衛生を基本に、必要時のみ最小量で短期処方
- フォロー:効果と副作用を確認し、早期から減量計画を共有
- 卒業支援:“やめ方”サポートと再発予防のコーチング
カウンセリング無料中です。ゾルピデム 30錠 5mg 4,400円/10mg 5,500円(予告なく料金変更となる可能性があります。)

