「依存」「一生やめられない」――その不安、実は誤解かもしれません
「睡眠薬は依存しそうで怖い」
「一度飲んだら、もう一生やめられない気がする」
「翌朝ぼーっとしそうで不安」
不眠に悩みながらも、こうした理由で治療に踏み出せない方は非常に多いです。
しかし、現在の不眠治療は、昔のイメージとは大きく変わっています。
この記事では、
「睡眠薬が怖い」と感じる理由
今の睡眠薬の安全性
安心して使うための考え方を、医師の立場から分かりやすく解説します。
なぜ睡眠薬は「怖い」と思われてしまうのか
多くの方が持つ不安は、次の3つです。
① 依存してやめられなくなるのでは?
② 効かなくなって量が増えるのでは?
③ 脳や体に悪影響があるのでは?
これらは過去の睡眠薬のイメージが強く影響しています。
昔の睡眠薬と、今の睡眠薬は別物です
かつて主流だったのは、
- 強く脳を抑制するタイプ
- 作用時間が長く、翌朝まで残る薬
現在は、作用点・目的がまったく異なる薬が中心です。
現在よく使われる代表例
- ゾルピデム(マイスリー)
→ 寝付きを助ける、短時間作用型 - クービビック
→ 覚醒を抑え、自然な睡眠を維持する
これらは、「無理やり眠らせる薬」ではありません。
「依存が怖い」は本当か?
結論から言うと、正しく使えば、依存のリスクは極めて低いです。
ポイントは3つ
- 最小有効量で使う
- 不要になったら減らす・やめる
- 漫然と増やさない
特にクービビックは、
依存・耐性が起こりにくいことが分かっている薬です。
「睡眠薬=一生やめられない」というのは、現在の医療では当てはまりません。
「効かなくなる」のではなく、「使い方」が大切
睡眠薬が効かなくなる原因の多くは、
- 本来の不眠タイプに合っていない
- 入眠薬で途中覚醒を治そうとしている
- 生活リズムの乱れを無視している
といったミスマッチです。
例えば、
- 寝付けない人 → 入眠を助ける薬
- 夜中に起きる人 → 睡眠維持を助ける薬
不眠の原因に合わせて選ぶことで、少量でも十分な効果が得られます。
睡眠薬は「一時的なサポート」と考えてください
睡眠薬は、
👉 骨折のギプス
👉 松葉杖
のような存在です。
- 眠れない状態が続く
- 睡眠不足で日中がつらい
- 不眠そのものがストレスになる
こうした悪循環を一度リセットするための手段です。眠れる感覚を体が思い出せば、減量・中止できる方も多くいらっしゃいます。
「できるだけ安全に使いたい」方へ
当院では、以下を大切にしています。
- いきなり強い薬は使わない
- できるだけ少ない種類・少ない量
- 状態に応じて調整・中止を前提に考える
「睡眠薬が怖い」と感じる方ほど、自己判断で我慢せず、医師と相談しながら使う方が安全です。
まとめ|怖いまま放置するより、正しく知ることが大切です
- 睡眠薬=危険、ではありません
- 今の睡眠薬は「目的別・短時間・低リスク」
- 正しく使えば、依存を過度に心配する必要はありません
眠れないこと自体が、心身にとっては大きな負担になります。「怖い」という気持ちがある方こそ、無理なく、安全に使う選択肢を知っていただきたいと思います。不眠でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


