睡眠薬を使うか迷っている方へ

睡眠

― 医師の本音を正直にお話しします ―

はじめに

外来でよく聞かれる言葉があります。

「できれば、睡眠薬は使いたくないんです」

この一言を聞いて、「それでも飲んだほうがいいですよ」と即答する医師は、実はあまり信用できません。

今日は、睡眠薬を処方する側の“本音”を、できるだけ正直にお話しします。


本音①:医師も「できれば使ってほしくない」と思っています

意外かもしれませんが、多くの医師は、睡眠薬を“第一選択”にしたいとは思っていません。

なぜなら

  • 薬はあくまで対症療法
  • 根本解決ではない
  • 使わなくて済むなら、それが一番

だからです。

ただし――「眠れない状態を放置する」ことは、もっと良くありません。


本音②:「眠れない」の放置は、想像以上に体を壊します

睡眠不足が続くと、実際に以下が起こります。

  • 自律神経の乱れ
  • 不安感・抑うつ
  • 集中力低下
  • 免疫力低下
  • 血圧・血糖の悪化

医師として怖いのは、睡眠不足が“別の病気の入口”になることです。

👉 この段階になると
「睡眠薬を使うかどうか」ではなく「どこで立て直すか」の話になります。


本音③:睡眠薬は「一生飲ませるための薬」ではありません

患者さんが一番怖がっているのは、これです。

「一度飲んだら、もう戻れなくなりそう」

これは半分誤解です。

医師が理想とする使い方は

  • 一時的に使う
  • 睡眠リズムを立て直す
  • 状態が安定したら減らす・やめる

👉 補助輪のような存在

現実には「数週間だけ使って、その後は不要になる」という方は、決して少なくありません。


本音④:「怖い」と感じる人ほど、慎重に使えば問題になりにくい

実は臨床上、

  • 睡眠薬を軽く考えている人
  • 自己判断で量を増やす人

よりも

  • 不安で慎重な人
  • 迷いながら相談に来る人

の方が、トラブルは圧倒的に少ないです。

👉 迷っている時点ですでに「正しい使い方」に近づいています。


本音⑤:薬を使わずに眠れるなら、それが一番いい

これは本心です。

  • 環境調整
  • 生活リズム
  • カフェイン・アルコールの見直し
  • 寝床で考え事をしない工夫

これで眠れるなら、薬は不要です。

ただし、
「わかっているけど、できない」
「頑張っても眠れない」

この状態で無理を続けると、“眠れない不安”そのものが病気になります。


本音⑥:医師が睡眠薬を勧める瞬間

医師が「使いましょう」と言うのは、こんな時です。

  • 眠れないこと自体が強いストレス
  • 日中の生活に支障が出ている
  • 不安や緊張が悪循環になっている
  • 「眠らなきゃ」という意識が強すぎる

👉 この場合、薬を使わないことが、かえって回復を遅らせます。


本音⑦:睡眠薬は「負け」ではありません

これは強く伝えたいことです。

睡眠薬を使うことは

  • 弱さではない
  • 依存でもない
  • 逃げでもない

**「体と脳を守るための選択肢の一つ」**です。

骨折したらギプスをするのと同じで、眠れない時期に“支え”を使うだけ。


まとめ|迷っているあなたへ

最後に、医師としての本音を一言で。

「迷っているなら、相談する価値は十分にあります」

  • 使うかどうかは、その後でいい
  • 無理に飲む必要はない
  • 無理に我慢する必要もない

睡眠は、健康の土台です。眠れない状態を続けることだけは、どうか一人で抱え込まないでください。