黒子除去後や傷跡の凹みはサブシジョンで改善できる?原因・適応・治療法を医師が解説

美肌

サブシジョン

はじめに

黒子除去や外傷のあと、「傷は治ったのに凹みが残ってしまった」というご相談は少なくありません。この凹みの多くは、皮膚と下層組織が癒着して引き込まれていることが原因です。その癒着を剥がして凹みを改善する治療が**サブシジョン(Subcision)**です。今回は、黒子除去後や傷跡の凹みに対するサブシジョンの効果・適応・治療の流れを医師が解説します。


サブシジョンとは?

サブシジョンは、特殊な針(鋭針または鈍針)を用いて、皮膚の下で癒着している瘢痕組織を剥離する治療です。
癒着を解除することで皮膚が持ち上がり、凹みの改善や血流の改善による皮膚再生が期待できます。

サブシジョンの仕方。プライベートクリニック恵比寿

特徴

  • ニキビ跡、傷跡、黒子除去後の凹みに適応
  • ダウンタイムは内出血や腫れが1〜2週間程度
  • 単独でも効果あり、再生治療との併用でさらに改善

黒子除去後に凹みが残る原因

黒子除去後の凹みは、主に以下の3つの要因が関与します。

1. 組織欠損

黒子が深くまで及んでおり、除去の際に真皮深層〜皮下脂肪まで削られた状態。この場合、皮膚の厚みが減って見えます。

2. 菲薄化(ひはくか)

瘢痕治癒の過程で真皮のコラーゲンや細胞密度が低下し、皮膚が薄くなった状態。光沢が出たり、毛穴が消失することがあります。

3. 癒着

皮膚と下層組織の間の「すべり層」が失われ、コラーゲン繊維が下に引き込むように固まった状態。これがサブシジョンの最も得意とする改善対象です。


サブシジョンが適応となるケース

  • 凹みの周囲の皮膚を横に引っ張ると凹みが浅くなる
  • 凹み部分を触ると硬さや引き込み感がある
  • 黒子除去後3か月以上経過し、色調や炎症が落ち着いている

サブシジョンが適応外となるケース

  • 組織欠損が主体(皮膚を引っ張っても変化がない)
  • 表皮の菲薄化が強く、ボリュームよりも肌質の改善が必要な場合
    → リジュランSやPRP、ダーマペン、フラクショナルレーザーなどが適応

使用する針と施術の違い

当院では、癒着の程度に応じて以下を使い分けています。

  • Nokor針(鋭針):強い癒着をしっかり剥がす
  • カニューレ:安全性が高く、軽〜中程度の癒着に向く。薬剤注入と同時に軽い剥離を行いたい場合

治療の流れ

  1. カウンセリング・診察で癒着の有無と凹みの原因を診断
  2. 笑気麻酔または局所麻酔
  3. 針を挿入し、癒着部分を剥離
  4. 必要に応じてヒアルロン酸やリジュランを併用
  5. 冷却・圧迫し終了

ダウンタイムと注意点

  • 内出血(1〜2週間)、軽い腫れ(数日)が生じることがあります
  • 治療部位は数日間、押すと違和感が残る場合があります
  • 当日は激しい運動や飲酒は避けてください

サブシジョンと併用すると効果的な治療

  • リジュラン:菲薄化を伴う場合に真皮再生を促進
  • ヒアルロン酸:組織欠損で体積補填が必要な場合、再癒着を防ぐ場合
  • ダーマペン:瘢痕組織の質改善に

ホクロ除去後のサブシジョンの症例写真

まとめ

黒子除去後や傷跡の凹みの多くは、「癒着」「菲薄化」「組織欠損」が組み合わさって起こります。
このうち、癒着による引き込みにはサブシジョンが非常に有効です。
当院では、凹みの原因を正確に鑑別し、必要に応じてサブシジョンと再生治療・フィラーを組み合わせることで、自然で美しい改善を目指しています。


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