こんにちは。
プライベートクリニック恵比寿 院長の美山です。
外来やオンライン診療で
「なかなか眠れない」
「寝つきが悪い」
「夜中に何度も目が覚める」
といったご相談を受けることが、年々増えています。
不眠はよくある症状ですが、決して軽く見ていいものではありません。
今回は医師の立場から、「不眠症が続くと体と心にどんな影響が出るのか」をわかりやすくお話しします。
不眠症が続くと起こる主な悪影響
① 脳が回復できず、集中力・判断力が落ちる
睡眠は、脳のメンテナンスタイムです。
眠れない状態が続くと
- 集中力が続かない
- 仕事や家事でミスが増える
- 判断が遅くなる
といった変化が起こります。
「気合で乗り切れる」ように感じても、脳は確実に疲弊しています。
② 自律神経が乱れ、体調不良が増える
睡眠は自律神経を整える最重要ポイントです。
不眠が続くと
- 動悸
- 胃腸の不調
- 頭痛・めまい
- 常に疲れている感じ
といった症状が出やすくなります。検査では異常がないのに調子が悪い、という方は、睡眠が原因になっているケースも少なくありません。
③ 不安感・イライラ・気分の落ち込みが強くなる
睡眠不足は、心の安定にも大きく影響します。
- イライラしやすい
- 不安が強くなる
- 些細なことで落ち込む
これは性格の問題ではなく、睡眠不足による脳機能の低下で起こります。
実際、不眠症はうつ状態や不安障害のリスクを高めることが知られています。
④ 太りやすくなり、美容・老化にも影響する
睡眠中には
- 成長ホルモンの分泌
- 肌の修復
- 脂肪燃焼
が行われています。不眠が続くと
- 食欲が乱れる
- 甘いものを欲しやすくなる
- 肌荒れ・老化が進む
など、美容面にもはっきり影響が出ます。
「眠れない」を我慢し続けなくて大丈夫です
「睡眠薬は怖い」
「一度飲んだらやめられないのでは?」
こうした不安を持つ方はとても多いです。
ですが、正しい薬を、正しい目的で、短期間使うことは、不眠治療においてとても有効です。
短期的な不眠改善にはゾルピデム(マイスリー)という選択肢
ゾルピデムは、主に「寝つきを良くする」ためのお薬です。
特徴として
- 入眠をサポート
- 翌朝に残りにくい
- 依存性が比較的低い
とされています。
当院での考え方
- 長期連用を前提にしません
- 「まず眠れる状態を作る」ことを目的に使用
- 状態を見ながら減量・中止を検討
「眠れた」という感覚を一度取り戻すだけで、不眠は改善に向かいやすくなります。
まとめ|眠れない夜は、治療していいんです
- 不眠症は心身に多くの悪影響を与える
- 放置するほど改善に時間がかかる
- 短期的な薬物治療は有効な選択肢
眠れないこと自体が、治療の対象です。
「たかが睡眠」と思わず、眠れない夜が続くようでしたら、ぜひご相談ください。
眠れるようになると、朝の目覚めも、日中の集中力も、人生の解像度も上がります。
(目覚めのコーヒーが美味しく感じられたら、回復のサインです☕)

