「睡眠薬はできれば飲みたくない」
「依存しそうで怖い」
「一度飲み始めたら、やめられなくなりそう」
不眠で悩んでいても、こうした不安から受診をためらっている方は少なくありません。
実際、診察室でもこのようなお声をよく耳にします。
まずお伝えしたいのは、睡眠薬が怖いと感じるのは、とても自然なことだということです。
なぜ睡眠薬は「怖い」と感じてしまうのか
睡眠薬に対する不安には、いくつか共通した理由があります。
- 依存してしまうのではないか
- 飲まないと眠れなくなるのではないか
- 記憶が飛んだり、ふらついたりしないか
- 一生飲み続けることになるのではないか
これらは、決して考えすぎではありません。実際、過去の睡眠薬の中には注意が必要なものも存在してきたのは事実です。
そのため「眠れないけど、薬は飲みたくない」という気持ちを持つ方は、とても多いのです。
「眠れない=すぐ睡眠薬」ではありません
医師として大切にしているのは、無理に睡眠薬を勧めないことです。
眠れない理由は人によって違います。
- 生活リズム
- ストレス
- 途中で目が覚めるタイプの不眠
- 不安が強い状態
本来は、まず「どんな不眠なのか」を整理することが重要です。
そして、その上でどうしても困っている時の選択肢としてお薬を考える、という順番が理想だと考えています。
それでも眠れない夜が続くとき
頭では「薬に頼りたくない」と思っていても、
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝まで眠れない
- 日中の集中力が落ちる
こうした状態が続くと、心も体も疲れてしまいます。
この段階になると、「眠らないこと」そのものが、健康に悪影響を与え始めます。
睡眠薬には「考え方の違い」があります
睡眠薬と一言で言っても、実は考え方がまったく異なるタイプがあります。
これまで多く使われてきたのは、
- 脳を鎮静させる
- 強制的に眠りに導く
というタイプのお薬でした。これが不安や恐怖につながっていた原因の一つです。
クービビックは「眠らせる薬」ではありません

ここでご紹介したいのが、**クービビック(一般名:ダリドレキサント)**というお薬です。
クービビックは、無理に眠らせる薬ではありません。
私たちの脳には「起きていようとする仕組み(覚醒)」があります。
不眠の多くは、この覚醒が夜になっても静まらないことで起こります。
クービビックは、この覚醒の働きをそっと抑えることで、自然な眠りを保ちやすくするお薬です。似た薬でデエビゴがありますが、デエビゴより作用時間が短い(8時間)ため朝眠気が残りにくい特徴があります。
「依存が怖い」という方に知ってほしいこと
クービビックは、
- 依存を起こしにくい
- 筋肉をゆるめない
- 記憶障害が起こりにくい
といった特徴があります。
そのため、長く安全に付き合うことを前提に設計された睡眠薬といえます。
もちろん、どんな薬にも合う・合わないはありますが、
「睡眠薬が怖い」と感じている方にとって、
考え方の異なる選択肢があることは知っておいて損はありません。
クービビックが向いている方
- 睡眠薬への不安が強い
- できるだけ依存を避けたい
- 夜中や早朝に目が覚める
- 翌朝の眠気を残したくない
- 仕事や日中のパフォーマンスを大切にしたい
一方で、
- とにかく強い眠気が欲しい
- 即効性だけを重視したい
という方には、別の治療が合う場合もあります。
無理にお薬を使う必要はありません
大切なのは、
**「薬を飲むか・飲まないか」ではなく、
「今の状態に合った選択肢を知っているかどうか」**です。
当院では、
- 無理に睡眠薬を勧めることはしません
- 必要最小限の治療を大切にしています
- 相談だけでも構いません
「今の不眠がどのタイプなのか」
「薬以外にできることはないのか」
そうした整理をするだけでも、気持ちが楽になる方は多くいらっしゃいます。
まとめ
- 睡眠薬が怖いと感じるのは自然なことです
- 不眠にはタイプがあり、治療も一つではありません
- クービビックは“眠らせない”という新しい考え方の睡眠薬です
- 無理に使う必要はありませんが、知っておく価値のある選択肢です
眠れない夜を、
一人で抱え込まずにご相談ください。
