スキンケアの基本
はじめてのレチノール、失敗しない始め方
皮むけ(A反応)との付き合い方
「レチノールを使ってみたけれど、皮がむけてやめてしまった」——実は、当院でもっとも多くいただくご相談のひとつです。レチノールは始め方を間違えると続かない成分で、逆に言えば、最初の1〜2か月の進め方さえ押さえておけば、多くの方が無理なく続けられます。この記事では、はじめて使う方に向けて、具体的な始め方と、皮むけが起きたときの対応を順を追ってご説明します。
なぜ「始め方」がそこまで大事なのか
レチノールは、肌の生まれ変わりのサイクルにはたらきかける成分です。これまでそのペースに慣れていなかった肌にとっては、環境が変わるということでもあります。
この変化に肌が慣れるまでには、ある程度の時間が必要です。そこを飛ばして最初から強く使ってしまうと、肌が追いつかず、赤みや皮むけといった反応が強く出ることがあります。
そして、ここがいちばん残念な点なのですが——その反応で怖くなって、使用そのものをやめてしまう方が非常に多いのです。レチノールは時間をかけて付き合う成分ですから、途中でやめてしまえば、当然そこで終わりになります。
だからこそ、始め方が大事なのです。
失敗しない始め方|4つのステップ
夜のスキンケアに組み込む
レチノールは夜、洗顔後のスキンケアの中で使用します。朝ではなく夜である理由は、紫外線の影響を受けやすい性質があるためです。日中に使うことは基本的に想定されていません。
「週2回」から始める
いきなり毎晩使うのではなく、まずは週2回程度から。肌の様子を見ながら、2〜4週間ごとに少しずつ回数を増やしていきます。焦る必要はありません。「物足りないくらい」がちょうどよいスタートです。
量は「少なめ」を守る
顔全体で、目安は小豆1粒ほど。たっぷり塗れば効果が高まる成分ではありません。むしろ量が多いほど反応が出やすくなります。目のまわりや口もとなど皮膚の薄い部分は、さらに控えめにしてください。
保湿と日焼け止めをセットにする
レチノールを使う期間は、保湿をいつも以上にしっかりと。そして翌朝の日焼け止めは必須です。肌の生まれ変わりが進んでいる時期は、紫外線の影響を受けやすい状態にあります。この2つは、レチノールとセットで考えてください。
不安な方は、レチノールを塗る前に保湿剤を薄く塗っておくという方法もあります。肌に届くまでの刺激をやわらげる工夫で、はじめての方や、以前に反応が強く出た方に向いています。
皮むけ・赤み(A反応)とは何か
レチノールを使い始めた時期に、皮むけ、乾燥、赤み、ヒリつきといった変化が出ることがあります。これは俗に「A反応」と呼ばれています。
ビタミンAに肌が慣れていく過程で起きる一時的な変化とされ、多くの場合は数週間で落ち着いていきます。特に口のまわりや小鼻のわきなど、皮膚が薄く動きの多い部分に出やすい傾向があります。
ここで知っておいていただきたいのは、この反応は必ず起きるものでも、起きなければ意味がないものでもないということです。「皮がむけないと効いていない」という考え方を目にすることがありますが、正しくありません。反応が出ないまま使い続けられる方も、もちろんいらっしゃいます。
反応が出たときの対応
実際に皮むけや赤みが出たときは、次のように考えてください。
- 軽い乾燥・粉ふき程度/保湿を強化しながら、使用間隔を少し空けて様子を見る
- 皮むけがはっきり出ている/回数を減らす、または数日休んでから、より少ない頻度で再開する
- 赤み・ヒリつきが強い、痛みがある/いったん使用を中止し、保湿と日焼け止めのみに切り替える
- 数日休んでも改善しない/腫れ・強いかゆみがある/自己判断で続けず、医療機関にご相談ください
基本の考え方はシンプルで、「やめる」のではなく「ペースを落とす」です。中止してしまうより、頻度を戻して続けるほうが、結果的に長く付き合えます。
やってはいけない5つのこと
- いきなり毎日使う/もっとも多い失敗です。反応が強く出て挫折につながります
- むけた皮を無理にはがす/自然に落ちるのを待ってください。こすると肌を傷めます
- スクラブやピーリングを併用する/同じ時期に重ねると負担が大きくなります
- 日焼け止めを省略する/レチノール使用中はとくに紫外線対策が重要です
- 反応が出たからと即やめる/頻度を落として続けるほうが、多くの場合よい選択です
妊娠中・授乳中の方、妊娠を計画されている方へ。ビタミンA誘導体は、種類によっては使用を避けるべきとされているものがあります。該当する方は自己判断で使用せず、必ず医師にご相談ください。
まとめ|続けられることが、いちばん大切
レチノールは、強く使えば早く結果が出る成分ではありません。無理のないペースで、長く続けられること——これが何より大切です。
次回は最終回として、市販の化粧品とクリニックで扱うレチノールの違い、そして自分に合ったものをどう選べばよいのかについてお話しします。
この記事のポイント
- レチノールは夜のスキンケアで使用し、週2回程度・少量から始めるのが基本
- 保湿と翌朝の日焼け止めは、レチノールとセットで考える
- 皮むけや赤み(A反応)は慣れる過程で起こりうるが、必ず起きるものではない
- 反応が出たときは中止ではなく、頻度を落として様子を見るのが基本
- 強い赤みや痛みが続く場合、妊娠中・授乳中の場合は医師に相談を
「どのくらいの頻度が自分に合っているか分からない」「以前に反応が強く出てしまった」という方は、肌の状態を診たうえで進め方をご提案できます。お困りの際は、お気軽にご相談ください。
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※本記事は成分に関する一般的な情報をお伝えするものです。効果や反応の出方には個人差があります。実際の使用にあたっては、医師にご相談ください。
