スキンケアの基本
レチノールって結局なに?
ビタミンAからはじめる、いちばんやさしい基礎知識
「レチノール、よく聞くけれど結局なに?」「なんだか肌に強そうで、少し怖い」。スキンケアに興味を持ちはじめた方から、当院でもよくいただく声です。レチノールは美容医療の分野で何十年も使われてきた定番成分ですが、情報が多いぶん、かえって分かりにくくなっている面もあります。この記事では専門的な話をいったん脇に置き、「レチノールとはこういうもの」とイメージできるところまでを、やさしく整理します。
レチノールは「ビタミンAの仲間」
まず結論から。レチノールは、ビタミンAの一種です。
ビタミンAというと、緑黄色野菜やレバーに含まれる栄養素、というイメージがあるかもしれません。目や粘膜の健康に関わる、あの栄養素です。
実はこのビタミンA、肌にとっても欠かせない存在です。肌の細胞が新しく生まれ変わっていく過程で、重要な役割を担っています。その働きに着目し、化粧品や医薬品としてスキンケアに応用したものがレチノールです。
つまりレチノールは、まったく未知の新成分というわけではありません。もともと体が必要としているものを、肌の外側から届けるという考え方の成分だとお考えください。
なぜ、こんなに長く使われているのか
レチノールを含む「レチノイド」と呼ばれる成分群は、1970年代から医療の現場で使われてきた歴史があります。
美容の分野には毎年のように新しい成分が登場しますが、そのなかでレチノールが残り続けてきたのには理由があります。それは、肌の中でどう働くのかが長年の研究で調べられてきた成分だから、という点に尽きます。
新しさよりも、積み重ねられた知見がある。だからこそ美容皮膚科の分野で、いまも「まず選択肢にあがる成分」であり続けています。
肌の中で、何をしてくれるのか
細かいメカニズムはここでは省きますが、ひとことで言えば、レチノールは肌が生まれ変わるサイクルにはたらきかける成分です。
私たちの肌は、新しい細胞がつくられ、古い細胞が押し上げられて剥がれ落ちる、というサイクルを繰り返しています。いわゆる「ターンオーバー」です。このサイクルは、年齢や生活習慣、紫外線の影響などによって少しずつゆるやかになっていき、その結果として肌の変化を感じやすくなります。
レチノールはこのサイクルに働きかけ、肌そのもののコンディションを整えていく方向性の成分です。
ここが大事なポイントです。レチノールは、すぐに結果が出る“リセットボタン”ではありません。時間をかけて土台を整えていくタイプの成分です。この前提を知っているかどうかで、使い方も、続けられるかどうかも変わってきます。
「レチノール」にもいくつか種類がある
もうひとつ、知っておくと役立つ話を。「レチノイド」という大きなくくりのなかには、複数の種類があります。
- レチノール
- レチナール(レチンアルデヒド)
- パルミチン酸レチノール
- トレチノイン(レチノイン酸)
これらは肌への働きかけの強さや、刺激の出やすさがそれぞれ異なります。化粧品に配合できるもの、医療機関でしか取り扱えないもの、という違いもあります。
「レチノール製品」とひとことで言っても、中身は同じではない——今の段階では、これだけ押さえていただければ十分です。この違いについては、第4回の記事で詳しくお話しする予定です。
まとめ|まずは「土台を整える成分」と覚える
次回は「レチノールは肌のどこに、どんなふうに働きかけるのか」——シワ、毛穴、ハリといった具体的なお悩みとの関係についてお話しします。ご自身の肌悩みに合っているのか気になる方は、ぜひ続けてご覧ください。
この記事のポイント
- レチノールはビタミンAの一種で、もともと肌に必要な成分を外から届ける考え方によるもの
- 1970年代から医療現場で使われ、働きが長年研究されてきた歴史のある成分
- 肌が生まれ変わるサイクル(ターンオーバー)にはたらきかけ、肌の土台を整えていく
- すぐに変化が出るタイプではなく、時間をかけて付き合う成分
- レチノイドには複数の種類があり、働きの強さや刺激の出やすさが異なる
レチノールは、肌質や今の肌の状態、これまでのスキンケア歴によって、適した種類や濃度、始め方が変わってきます。「使ってみたいが何から始めればよいか分からない」「以前試したら肌に合わなかった」という方は、一度ご相談ください。
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レチノール連載(全4回)
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- 市販とクリニックのレチノール、何が違う?|濃度・種類・選び方
※本記事は成分に関する一般的な情報をお伝えするものです。効果の感じ方には個人差があります。実際の使用にあたっては、医師にご相談ください。
